心臓の手術は、手術の内容によって違いますが、長い場合は10時間以上かかることもあります。手術が終わるのを待つご家族にとっては、とても長く不安な時間だと思います。手術室では、どのようなことをしているのかについて説明していきます。
心臓手術は大きく分けて2種類あります。人工心肺(後ほど説明します)を使って心臓の中の手術を行う「開心術(かいしんじゅつ)」と、人工心肺を使わない「非開心術」がありますが、ここでは「開心術」の流れを説明します。
1.手術室へ
手術室にはいる予定時間にあわせて、入院している一般病棟を出発します。
手術室に入る前に、お子さんの場合はご家族とともに、医師、看護師で、患者さんの名前や生年月日、手術をする場所などを確認してから、手術室に入ります。
2.手術の準備
① モニターをつける
手術室に入ったら、心臓が動いているか、血圧は安定しているか、呼吸ができているか、などを確認するためのシールなどをからだにつけて、「モニター」とよばれるテレビのような画面に映し出します。
モニターは、手術中ずっと手術にかかわるスタッフが監視して、安全に手術が行われているかを確かめるのに必要なものです。
② 麻酔をはじめる
手術は、完全に眠って体が動かない状態になる「全身麻酔」と、手術をする部分の痛みだけをとって手術をする「局所麻酔」がありますが、開心術は全身麻酔で行います。
全身麻酔は、痛みをなくし(鎮痛)、完全に眠った状態で手術中のイヤな記憶を残さないようにし(鎮静)、そして、安全に手術ができるように体が動かないように(筋弛緩)します。
体が動かないようにするということは、呼吸をすることもできなくなるため、手術をしている間は機械で呼吸を補助しますが、機械で呼吸をすることを「人工呼吸」といいます。人工呼吸を行うためには、機械から肺に空気を出し入れできるようにするために、口から肺までチューブを入れますが、チューブを入れることを「気管挿管」と言います。全身麻酔の薬を投与した後に麻酔科の先生が気管挿管を行います。